好きなモノ、書きたいもの、見たいもの、舞台映画、役者とか

オリジナル、二次の小説 舞台、役者 すきなもの呟いて書きます

逃げ込んだのは鋼の世界 セントラルへ、勉強しに(真面目です)

  まるで海外のセレブというか、女優のような金髪美女が目の前にいる、正直、信じられなくて思わず田宮さんと呼んでしまったぐらいだ。 
 美女は頷くと、これで騙せるとは思ってはいない、だが、威嚇にはなると口元をわずかに緩め、笑えているかと尋ねた。
 昨日、セントラルに着いたばかりだが、ホテルのレストランに行くと何故か注目を集めてしまった。
 金髪と黒髪の女性、そしてマルコーさんの三人での食事風景は、そんなに珍しいのかと思ってしまった。
 これから軍の施設に行き、錬金術について調べるのだ。
 マルコーさんは、ここセントラルの中央施設に退職前に勤めていたという、改めて偉い人だったんだと驚いてしまった。
 顔パスとまではいかないだろうけど施設の中に入って錬金術に関する本や資料などを見ることができるだろう、その言葉に、ほっとした。
 最初、錬金術について、もっと詳しく知りたいと言い出したのは田宮さんだ、後藤対策の為だと言われて、二人がかりでマルコーさんを説得したのだ。


 朝食を食べた後、施設に行くと出迎えてくれた男性、ロイ・マスタングという男性は田村さんをびっくりしたように見た、美人だからだろうか。
 用件を伝えると男性は少し困った、いや、微妙な表情になった。
 もしかして、関係者以外の人間が施設内に入るのは良くないということだろうか、日本でも警察、関係のない人間は簡単には入れないことを思いでした。
 「私は妻だ」
 田宮さんの言葉にマスタングという男性は少し拍子抜けというか、無言になった。
 「彼女は嫁だ」
 「あっ、ええと」
 驚いたのだろうか。
 「何だ、妻と嫁が二人いてはおかしいのか」
 こういうとき普通の人なら笑ったり、恥ずかしそうに、いや、表情を浮かべるのかもしれない、だけど田宮さんにしてみれは普通に、いつもの顔つき、まじめだ。
 すると相手もどんな反応をすればいいのかわからないのだろう。
 そして、マルコーさんは慌てたように何か言おうとしているようだが、赤くなって無言だ。
 そして、あたしも田宮さんを見習おうと平然とした態度でやり過ごそうと思ったのだ。
 


 資料室に入ると田宮さんは棚に並んだ本に手足を伸ばして目を使って取ると、これを読めとあたしに渡した。
 そして、マルコーさんに分からなければ説明と補助、援護して、最低限の知識を憶えさせてほしいと言った。
 勿論、田宮さんも勉強だ。
 「あの人には会わなくていいの、キンブリーさん」
 ここに来るとき、キンブリーさんは、あたし達と行動することを断った、そして田宮さんも反対しなかった。
 何故と聞くと、使えないと一言、バッサリだ。
 「あの男は後藤に似ている、力はあっても私たちに協力はしないだろう、当てにするだけ無駄だ」
 「でも、そうなったら難しくない、もし後藤が」
 襲ってきたら大丈夫だろうか、不安を感じてしまう、すると、その為に、ここに来たと田宮さんは言った。
 余計なことは考えるなという田宮さんの言葉に驚いて、なんて答えていいのか分からない。 
 「私たちと後藤は違う生き物と思え」
 意味が分からない、あたしは人間、田宮さんは寄生獣だ、そして後藤だって寄生獣、どこが違うのだろう。
 「後藤には二つの選択、だが、おまえは、そしてマルコーは違う、そして私も、いいか」
 このとき、田宮さんは何か言おうとして黙った、すると。
 「それは彼女かね」
 田宮さんの口から、ほうっという声が漏れた、金髪美女の姿に戻ると笑う。
 なんだか、二人だけ、あうんというか、わかっているという感じだ、だけど、あたしにはさっぱりだ。
 暫くして田宮さんは街に出てくる、だから、ここでマルコーと勉強しておくようにと言われてしまった。


 「わかるかね」
 「は、はい」
 錬金術の基礎はマルコーさんの家である程度は勉強というか、教えてもらっていたが。
 「少し休憩しようか、お茶でも飲むかね」


 これからの、先の事を考えると気が沈んでしまいそうになるが、考えすぎてもどうしようもない、珈琲を飲んで気持ちを落ち着けよう。 そんなことを思っているとマルコーさんが心配かねと尋ねた。
 「多分、いや、彼女にも考えがあるのだろう」
 気持ちを少しでも落ち着けるようにと声をかけた。
 これから先、あの化け物のような力を持つ後藤と、簡単にはいかないだろう。
 それに錬金術を今から習得など不可能だ、いや、付け焼き刃でもある程度は理解できたとして、それでもだ。
 なのに、何故、田宮は彼女に学べと言うのかわからない。
 もしかして、彼女が。


 数日前の会話を想い出す。


 「攻撃よりも防御に徹することが最優先にしろ」
 「後藤には二つの選択しかない」
 「だが、私はもう一つ、三つ目の答えに行き着いた、多分、大抵の人間は行き着くのかもしれない」
 


 「それを寄生獣の私に教えたのは、おまえだ、マルコー」