好きなモノ、書きたいもの、見たいもの、舞台映画、役者とか

オリジナル、二次の小説 舞台、役者 すきなもの呟いて書きます

犯人は誰、呪霊、呪術師、それとも呪詛師

 鋼の錬金術師と呪術廻戦のクロスオーバーです。



 ここはどこなんだ、分かるのは自分のいた場所、世界ではないことは確かだ。
 日本ではない、そのことに最初は驚き、落胆したが、男はすぐに順応した、呪術師だからではない、どんな世界にもいるのだ。
 邪魔な人間、排除したいと思う連中が、それがどんな人間かなんてことは関係ない。
 自由に生きられればいいのだ、自分が。


 


 邪魔で憎い奴がいるなら始末、殺してやる。
 その言葉を聞いたとき、タッカーは体が震えるのを感じた、そして自分は本当に行きているのだと実感した。
 信じられない、自分は死んだのだ、違法な実験、キメラ実験をしていたということで。
 喋るキメラを造ったということで周りから尊敬された、だが、それが自分の妻と娘を犠牲にした結果だと知られてしまった。
 結果、死罪だ、そう、自分は死んだのだ、なのに今、どういうことだ。
 目の前の老婆は笑いながら、恨みが強かったからねと笑った。
 「憎い奴はいるか」
 老婆の側にいた小柄な男が尋ねた、笑顔で。
 今まで色々な人間を見てきた、だが、こんな笑い方をする人間は、決して普通、いや、まともではないと思った。
 「言い方が悪かったか、殺したいほど憎い奴はいるか」
 返事の代わりに頷いた。
 「殺してやろうか」
 殺すだと、相手は軍人だ、わずかな沈黙の後、男は笑いながら無理だと思ってるのかと尋ねた。 
 「俺は人を殺すことで生きてきた」
 そう言った後、疑っているのかと聞いてきた。
 初対面の人間だ、だが、自分を生き返らせた、錬金術師なのかと尋ねると違うと言われた、ホムンクルスでもキメラでもない。
 「試しに一人、やってやる」
 半信半疑だった、だが、後日、軍の人間が死んだ、しかも、一人では、ない。
 殺されたと報道されたのは数日後のこしとだ。




 男が死んだ、警察が犯人捜しに乗り出したが、犯人は一ヶ月経った今でも見つからない、それから二週間、また事件が起きた。
 殺されたのは呪術師だ、犯人捜しに白羽の矢が立ったのは呪術高専の三人組だ。
 ところが、捜索は中止になった、突然だ。
 犯人は見つかったのだろうかと三人は思ったが、詳しいところは知らされなかった。
 「なんだか釈然としないなあ」
 彼女の言葉に傑は、そうだねえっと頷くが、何も言おうとはしない。悟はというと余計な仕事押しつけ競れなくてよかったじゃんと笑ってすませたので、この話、いや、事件は終わったものとして扱われた。


 男は追い詰められていた、自分は追われているということが信じられなかった。
 相手は弱い、下級の呪霊だ、余裕で勝てる筈だった。
 なのに、どういうことだ、このままでは負ける。
 それが意味するのは死だ、自分が死ぬだとあり得ない。
 今まで色々な様々な呪霊と戦い勝利してきた、少し前まで勝利を確信していたのだ、なのに、どこで間違った。
 呪霊が口を開いた。
 喋った、何故、知能の欠片もないような芋虫のような呪霊が。
 知能があるのか、自分の攻撃に対し傷ついたふりをしたのは見せかけ、いや、フラグか。
 芋虫が口を開いた、それほどの大きくはないというのに、まずいと思ったが、意識は途切れそうになる、その瞬間、身体ごと全てが呑み込まれた。
 これが第一の事件。
 そして第二の事件。


 「ねえっ、荷物持つよ、大変でしょ、良かったらちょっと」
 男の言葉にすみませんと女は首を振った、自分は急いでいるのだ。
 それに今日は並んで、やっと買えた羊羹がある、学長を待たせる訳にはいかない。
 「すみません、急いでいるんです」
 そう言って足早に男の誘い、ナンパを断った、だが。


 きゃーっ、若い女は道端で倒れている者を見て悲鳴を上げた。
 無理もない、頭のない首なし死体など早々、お目にかかるもものではない。
 しかも昼間、人通りも少なくない場所だ。
 そして目撃者がいた、だが、突然人間の頭が破裂したなど、誰が信じるだろうか。


 「噂、本当かなあ」
 そんな事を聞いてどうするといわんばかりに隣を歩いていた傑はわずかに肩をすくめた。
 「茶を飲んだくらいで噂されるなら、美夜さんも気の毒だよ」
 「そうだよな、でも年上が好みだって言ってたよ」
 いや、幾ら恋愛対象が年上好みだって、あれは離れすぎだよ、友人の言葉に五条悟は、そうだよなあと頷いた。
 だが、その足が不意に止まった、どうしたと傑が顔を上げたとき、向こうからやっくる二人組の姿を見つけた。
 「こんにちは、学長」
 深々と頭と下げる傑に対して、悟はというとチャラけた様子でデートですかと尋ねてくる。
 老人はギロ利と睨みつけただけだか、鋭い視線は明らかに良く思っていないのは明らかだ。
 「良かったら、お茶はどう、後からしょうこちゃんも来るんだけど、地獄の羊羹が買えたのよ」
 女性の言葉に二人の青年は顔を見合わせると、にっこりと笑った、一切れが厚く、甘い、すごく甘いのだ。
 


 呪霊が人を殺すなど珍しい事ではない。
 だが、今回の事件少し事情が違っている。
 説明してください、誤魔化しや、はぐらかしはなしですと校長の夜蛾正道に言われて老人はふんっと、ふてくれされたようにそっぽを向いた。
 この様子では本当の事は話さないだろう、仕方ない、ここだけの話ということならどうです、すると。
 「理由もなしに殺したりはせん、呪霊といえどな」
 それだけいうと老人は席を立った。
 「学長、それだけてすか」
 うやむやにする気かと詰め寄ると、みやと呟いた。
 数ヶ月前、呪術高専に一人の女性がやってきた。
 呪術師としてではなく、学食や校内の清掃、用務員として雇われたのだ。
 男性ではなく女性を雇うということは決して珍しくないのは学長の推薦があったからだ。
 みやという名前が出たことで夜蛾は諦めた、というより追求しても無駄かと思ってしまった。