好きなモノ、書きたいもの、見たいもの、舞台映画、役者とか

オリジナル、二次の小説 舞台、役者 すきなもの呟いて書きます

寄生獣と錬金術師のタッグ、真理の扉

鋼の錬金術師と寄生獣のクロスオーバー、二次創作です。





頭の中に声が響く、マルコーは我に返り隣を見た。
 自分が支えなければ隣にいる彼女は片足では立つことも不安定だ、その瞬間、いきなり壁の一部が壊された、いや、吹き飛ばされたといったほうがいいだろう。
 「もう逃げられない」
 男の声にマルコーは顔を曇らせた、今まで危険な目にあったことはあった、だが、それは相手が人間、錬金術師の場合だ。
 ホムンクルスと戦う事もあったが、しかし、今、目の前に立つ相手は未知の生き物だ。
 動くなという声に従うべきなのか、それは攻撃するなということなのか、だが、じっとしていてはやられてしまうのではないか、そう思ったとき。
 自分に近づこうとした相手の動きが止まった、そして体が吹き飛んだ、壁と一緒に。
 何が起きたのか、マルコーは状況が分からず粉塵の中から聞こえる声に驚いた。


 「人間のくせになかなかだな」
 立ち上がった男は自分に攻撃を仕掛けた相手を見ようと視線を動かした、自分に攻撃したのは白いスーツの男だ、笑いながら近づいてくる、その姿にマルコーは息をのんだ。
 男の左腕が肘から下がない。
 それに何かを感じたのだろう。
 「腕を、どうした」
 だがキンブリーは答えない、その態度、様子に相手は顔を歪めた。
 「おまえ、田宮っっ」
 右手を突き出した彼の手には口があった。
 「そうだ」
 女の、田宮良子の声に男は体を飛びかかろうとした。
 だが、白スーツの男の背中から一本の腕が伸びてきた。


 このとき、マルコーは自分の手を掴まれて驚いた。
 隣の彼女の手が自分の手に重ねられたのだ、その瞬間、目の前に錬成陣が浮かび上がった、それも二つ。
 一つは青白い、だがもう一つは真っ赤な紅蓮の炎だ。
 二つの錬成陣は目の前で揺れはじめた、まるで溶け合うように。
 融合、馬鹿な、こんなことは。
 驚くマルコーだが、そのとき頭の中に声が響いた。


 爆音と熱風、だが自分と彼女には怪我一つない。
 男の声、それはキンブリーの声だ。
 「あなたは勝てません、負けます」
 静かで、冷たく、そして、ひどく、冷静に落ち着いているように思えた、いや、感じられたのだ。
 「田宮、おまえは、その男を」
 最後まで言葉が続かない、だが、聞かなければと思ったのだろう。
 「喰った、のか、それとも」
 最後の言葉が途切れた、いや、出てこない、答えを聞くのを躊躇っているようだ、だが、聞かずにはいられなかったのだろう。
 「おまえは、あの女と心臓を共有している筈だ」
 田宮はこの男を完全に乗っとったのか、脳、いや、全てを。
 それにしては、この男の動きは、どこか、おかしい、気のせいか、いや、わざと油断させようとしているのかもしれない。
 (何故)
 自分は、そう思う、疑問を感じるなど。


 突然、男は膝をついた、足、いや、腕、体の関節がぎしぎしと音をたてるのだ、なんだ一体、どうした。
 もしかして、後藤から離れすぎたせいか、戻らなければと思った、だが、体を動かそうとすると激痛が走る。
 人の形を保っていられない、体を変形させる、だが、それでも動かすことが。
 「人間があっ、餌のくせにいっっっ」
 それは怒りの為の、叫びかもしれなかった。
 「人間、その程度の認識か」
 笑っている、のか。
 変形した体の頭の中に声が響く、まるで、今にも笑いだしそうな声だ。
 「確かに私が寄生したのは人間だ、だが」
 そうだ、田宮、おまえは人間を喰った、そして今、何を。
 言おうとした、いや、何をしようとしている。
 「では、試してみよう」


 突然、視界が真っ暗になった、そして目の前に扉が、それはとても、大きな扉だ。
 開けてはいけないと思った、なのに。
 手を自分の体を何かが引き寄せる、いや。
 意識が遠くなっていく。
 後藤、このままではやられる、こちらへ来い。
 だが、返事の代わりに伝わってくるのは怒りの叫びだ。
 戦っている、誰と、あの男とか、たかが人間相手に苦戦しているのか、後藤のへ本体は。
 武器を持てば自分たちを殺すことができる、だが、生身の人間は弱い、それに武器を持っていなかった筈だ、あの男は。
 このとき、気づいた、腕がない、何故だ、あの男は何故、腕がない。
 (田宮は、その腕を)


 大きな扉が開いた、偶然、そう思ったとき、はっとした。
 自分の体を何かか掴んでいる。
 思わず名前を呼んだ、しかし、返事はない。
 騙された、意識が粉々、死。
 自分は、ここで終わる、消える。


 テーブルにはビーフシチュー、パン、サラダ、他にも色々な料理が並べられていた。
 「いただきます、マルコーさん」
 食べ始める彼女の隣で、まるでアメーバのような生き物がいて自分の料理を食べている。
 「味と食感、これを表すのは美味しいという言葉で、いいのか」
 「そうだよ、マルコーさんの料理は」
 「ふむ、とりあえず食べよう、休息も必要だか、食べて体力もつけないといけない」
 マルコーは、この光景を奇妙な気持ちで見ていた。
 「キンブリーといったな、人間、おまえもしっヵり食べろ、でなければ体力がつかない」
 その言葉にキンブリーは、むっとした顔になった。
 するとアメーバーの一部から口が現れ、言った


 「後藤に負けるぞ」