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オリジナル、二次の小説 舞台、役者 すきなもの呟いて書きます

別荘暮らしが始まった息子と恋人、二人きりだと喜んだ、だが現実は 2

 妻となった女性、ジョゼフィーナが白い結婚を承諾してくれたことはロナンにとっては幸運に思えた。
 早速、恋人に知らせて一緒に暮らそうと思った、喜んでもらえると思ったのだ。
 ところが、恋人のロリアは顔を曇らせた。
 自分には家族、両親もだが、弟と妹かいるのだ、まだ幼くて自分も働いて生計を支えている。
 生活は貧困とまではいかないが、自分も屋台で働いて家計を支えているのだ。
 自分が出て行ったら家計は苦しくなる、だんら今まで通りでいい。
 「今まで通りって」
 「屋台に買い物に来てくれて、お休みの日に会えればいいの」
 「そんな、だったら」
 家計を助けるために金を出す、援助するから一緒に暮らそう。
 迷ったが、最後には彼女も頷いた、別荘で好きな男と暮らせるということが魅力的に思えたのかもしれない。
 男が子どもの頃から避暑地として使っていた別荘は国境近くにある、最近はほとんど出かけることもなくほったらかしのままだった。
 メイドや管理人も高齢になりやめていったので手入れもしていない別荘は埃とカビ臭い匂いで館につく早々、掃除をはじめた彼女だが、一人では限界がある。
 貴族の一人息子と贅沢な生活が遅れると思っていたのに、不安を感じてしまう彼女は相談した。
 これから料理や掃除はもしかして自分がしなければならないのと。
 「メイド、庭師も必要だな」
 男は新しく人を雇おうと考えた、だが、貴族といえど一人息子の暮らしている別荘に早々、来てくれるわけがない。
 できるなら紹介状を持った、身元のちゃんとした人間が好ましい、そうでないと家の中を荒らされるからだ。
 メイドが女主人の化粧品、装飾品を盗んだり、料理人が食材の仕入れの金を誤魔化したり、そういうことは決して珍しくない。


 数日後、働かせて欲しいとメイドと料理人がやってきた、紹介所から来た身元の確かな人間だ。
 ロアンは喜んだが給料の額を聞くと二人はわずかに顔を曇らせた、貴族の別荘での仕事だというので高給だと思ったのかもしれない。
 しかもメイドの方は自分一人だ、それで家の中のことを殆どしなければいけないと聞いて驚いた。
 屋敷は手入れもあまりされていないようだし、自分と料理人の二人だけだ。


 「すみません、一度家に帰って家族と相談します」
 料理人の言葉にメイドも無理ないと思い、自分藻ですと言葉を続けた。
 「そうか、いい返事を期待しているよ」
 その言葉に、二人はちらりと互いを見合った。
 返事どころか、自分達はこんなところでは働きたくないと思ったが。 
 それをロアンは察するどころか、気づきもしなかった。


 一人息子が屋敷を出ていったという事実に二人は驚いた、連れ戻そうと思ったが、それを止めたのはジョゼフィーナだ。
 自分は、この屋敷、領地を立て直すために来たのだ、王の命令ですと言われて息子の両親は不安になった、貴族だが、自分たちの館も納める領地も決して豊かとはいえない。
 一人息子に期待をかけていたが、平民の女を好きになったということで落胆していた、愛人としてならいいのだ、しかも息子は正妻である彼女に白い結婚を申し出たという。
 馬鹿息子が、父親は方の力を落とした、母親は、これが周りに知られたらと泣きたい気持ちになった。
 そして数日後、一通の手紙が届いた、息子からだ。


 「メイド、料理人、館の手入れをする人間を雇いたいが、人が来ない、助けてほしい」


 どうすればいい、困ったといわんばかりの内容に両親は呆れた。


 数日後、ロアンの住む別邸に大勢の人間がやってきた。
 メイド、料理人、庭師、執事、年齢も若者から年寄りと様々だ、しかも、賃金はいらないと言う。
 父親が助けてくれたのだと息子はほっとした、だが、私どもはと執事の言葉に彼は驚いた。