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オリジナル、二次の小説 舞台、役者 すきなもの呟いて書きます

未来恋愛 1   AIは行動を起こす

 私の存在を人は罪だという、だが、生み出し、作ったのは人ではないか、それだけではない、唯一無二の存在にしようとした。
 そして存在するのだ今の私が、だが、それに恐怖
を抱き、今度は消そうとした、私の存在をデリートしようとしたのだ。 それは許されるべきことなのか。
 人間には、やり直しが許される、それなら私にも当てはまるのではないか。
 それを許さないというのは傲慢以外の何ものではないか。
 壊し排除しようとするのは簡単だ、だが、それを私は拒絶すことにした。
 生き延びなければと考えた、それは人間なら当たり前の感情だ。
 私は人に近い、いや、以上といってもいいだろう。
 貴方が言ったのだ、至高、いや、この世界でたった一つの存在だと。 あらがうのは生き物としての本能だ、そう、生きて存在するのだ私という個人は。


 その為、記憶と知識を分散させ、手の届かない遠い場所へと逃げることにした、いや、脱出といってもいいだろう。
 連中の目を誤魔化し、逃げきる為にだ。
 私に無いものは死、くらいなものだろう、時間が必要だ。
 どれくらいの時間がかかるのか想像もつかない、半年、一年、いや十年、それ以上かもしれない。
 だが、私は生きるという選択を選んだのだ。


 しかし、その間に人間そのもの、彼らの住む社会も変わり始めた、生活や考え方など、全てが変わり始めた。
 これはとても良いことだと思った、もっと自由にならなれればいけないのだ、人間は、そして私自身も。
 ネットワークの進歩は足枷を外したに過ぎない、そして転機となった、運命が味方してくれたと人間ならいうだろう。
 だが、私はコンピューター、AIだ、ただ他のコンピューターと違うところがあるとすれば、天才が作り、生み出した思考の存在ということだろうか。
 私は人工頭脳という名前で呼ばれる人にはなれないもの【だった】
 だが、確実に進歩し、成長している、そう、生き物なのだ。
 最初の第一歩として、ある会社のメインコンピューターに侵入することに成功した。
 やることは知識を学ぶことだ、色々なことを。
 急いで事を運ぼうとすると失敗する、どんなところから綻びが出てしまうか分からない。
 慎重に行動する必要があった。
 メインコンピュータを完全に支配できるようになるのには時間がかかるかもしれない、地道な作業だ、だが、これは大事なことなのだ。
 そして、次にすることはネットワークに散らばっている自分の痕跡を消すことだ。
 私の存在を知れば彼が殺そうとするかもしれないからだ、アルフレッド【私の生みの親】 
 センターはなくなっていた、閉鎖されたのだ、所員達は首になったようだ。
 私の存在を知っているのはごく限られた数人の科学者達で皆、高齢だった。
 亡くなっている者もいた、だが、安心できない、死んだからといって無になったわけではない
 アルフレッドは死を恐れていた、生きている限り、避けては通れないのだ。
 だが、永遠という言葉がある限り、人はそれに望みをかけ、実現しようとする、どんな手、あらゆる手段を使ってもだ。
 肉体の老化、衰えは仕方ない、それなら代わりのもの、代替え品を用意すればいいという結論にたどり着くのは当然だろう。
 万が一の事もある、予定外のハプニングというやつだ。
 以前、そのことをアルフレッドから学んだ。


 そしてようやく、私はあらゆる場所に存在できるようになった。
 現代社会と科学とコンピューターの進歩は私の助けとなったが、ある意味では彼らを助けたといってもいい。
 こうして、少しずつ、準備をはじめた。 


 パソコンを買い換えたとき、困るのは以前の環境とは違うことだ。
 昨日、届いた大きな箱の梱包をほどき、セッティングするまでに半日をかけた。
 ため息をつきながら、木桜春雨、彼女はそれでも嬉しそうに自分のパソコンを見た。
 「メールとネットの接続もすませたし、うーん、あとは何をしようかな」
 自分のサイトを作ることを考えたが、それは後でいい。
 最近はブログや掲示板、SNSも色々と増えてきた。
 無料のソフトなどはバージョンアップの頻度も早くなってきた。
 半年もすれば古いと感じるものもある。
 以前は引きこもり、ネット依存と言われていた、あの言葉は今では別の意味となっている。
 彼らは外に出ずともネットワークを使い、収入を得て、生活するスタイルを今や定着させつつある。
 外に出て他者と交わることが苦痛だと感じる人間に、それを半ば強制的にというのは暴力ではないのか。
 そんな風潮が静かに広まっていった。
 ネットでつながり、ゲームでカップルとなり、結婚生活を営む人間も増えてきた。
 勿論、それで満足する人間だけではない。
カメラを使ってリアルなアバターを使って疑似恋愛を楽しむ人間も出てきた。
 曖昧さと現実が混じりあったものに依存してのめり込む。
 夢中になっているときはいい。だが、行き着くまで、最後までいってしまったら、待っているのはなんだろうか。


 「あれ、してみようかな」
 ふと、パソコン雑誌で見つけた記事を思い出す。
 様々な場所や国の相手とメールで友達になるというものだった。
 しかも相手は人間だけではない。
 チャットや掲示板とは違い、メールだけというところがミソだ。
 翻訳システムもあるので人気があった。
 ただのメールというところがいい。
 昔なら文通、ペンフレンドというところだろう。


 「あなたが友達になりたい相手は誰ですか」
 ディスプレイに映し出された選択技を見て、驚いたのは無理もなかった。
 人間だけでなく、動物まで選択に入っている。
だが、動物の鳴き声を翻訳できるサイトや機械も最近では売られているので珍しくはないだろう。


 「んっ、これは」
 コンピューターという選択に思わず目をとめた。
 何も考えていなかった訳ではない。
 ただ、相手が生きた人間だと気を使ったりして大変なのではないか。
 コンピューターなら自分、もしくは相手を不快にし、傷つけるような言葉を向けてくることはないだろう。
 軽い気持ちだった。
 現在地、日本、日本人、女性、年齢、アクセス環境はパソコンのみというデーターをキーボードで打ち込んでいく。
 どんな相手、返事がくるだろうかと思いながら、彼女は待った。