好きなモノ、書きたいもの、見たいもの、舞台映画、役者とか

オリジナル、二次の小説 舞台、役者 すきなもの呟いて書きます

タイトル、今、考えています

それは突然の誘いだった、スタジオの見学に来ませんかと言われて美夜は驚いた、テレビ局に見学に行くって一般人が簡単に入れるのだろうかと思ったのだ。
 事件があったのだ。
 アイドルの熱狂的なファンがスタジオに忍び込んで騒ぎになった事件を思い出したからだ。
 犯人は男性でアイドルの少女に、かなりきわどい台詞を口にして迫ったらしい、テレビやネットでもニュースになったのは男性が拘束の道具だけでなく、合法ドラッグを持っていたことで大きな事件として取り上げられた。
 テレビ、ネットでもニュースになった、三ヶ月前のことだ。
 ここは遠慮した方がいいと思ったのだが。
 自分の仕事をしているところを是非とも見てほしいというLIMAの言葉に、最期には断るのも悪いと思い、見学することにした。
 一般客だと厳しいが、家族や親しい間柄の人間なら身分証明書の提示、本人確認で局内に入ることができるという。


 喫茶店で待ち合わせをして、いざ局内に入る。
 出入り口のガードマン、警備員さんに挨拶をする、LIMAちゃん、今日は珍しいねと声をかけられた、いつもは一人なのにと不思議そうに隣の女性を見る。
 「親戚の姉さんなんです」
 「そうなのか、てっきり、同じ、アイドルかと思ったよ」


 その言葉に美夜は内心驚いてしまった、久しぶりの外出なので少しだけ化粧をしているが、今まで自分ではやったことがないのでLIMAの母、恭二にメイクをしてもらったのだ。
 簡単に眉を整えて、他の化粧もそれほとでもないのは万が一の為だ、長い入院生活の後だからだ。
 医者からは化粧、香水など控えめにと言われている。
 真っ白な髪を隠したいと思ったが、染めるのもできるならと言われている。
 自分で染めたり、サロンに行くという方法もあるが、頭皮があれたりして、何かあっては大変だと言われたのだ。




 建物の中に入り、廊下を歩いていると子供達の集団とすれ違いそうになった。
 お喋りをする子供の集団を避けようと壁際に体を寄せた、ところが、すれ違う瞬間、美夜は思わず声を上げてしまった。
   
 男の子の声が響く、すれ違いざまに子供が髪を引っ張ったらしい
 「本物か、白なんて、今時、流行らないぜ、おばさん」
 
 おばさん、白髪と言われて美夜は一瞬、むっとした顔になった、ここが外なら文句、いや、注意の一つでもするところだろう。
 そのときだ。
 
 「おい、ボウズ」
 男の声がした、振り返ると、でっぷりと太った男性がじろりと睨んでいた、子供達は驚いたように立ち止まった。。
 「佐伯さん」
 男性のそばに居た眼鏡をかけたスマートというかガリガリの男性が声をかけるが、太った男は小声で何かを呟いた。
 眼鏡の男性は一瞬、拍子抜けというか、はあっという顔になった。 「嫌いなんだよ、しつけのなってない奴は大人だろうが、がきだろうがな、二度は言わん」
 「いきなりですか、佐伯さん」
 返事はなかった、代わりに佐伯と呼ばれた太った男は壁際に呆然と立っている二人に近づいた。
 「LIMAじゃないか、今日は仕事なのか」
 深々と頭を下げるLIMAにつられて、隣にいた美夜も頭を下げた。
 「なんだ、収録」
 「あ、あの、あたしの友人、お姉さんがファンなんです」
 その言葉に男性は隣の女性をじっと見た。  
 「あいつ、収録、んっっ、用事を思い出したぞ」
 「ちょっ、佐伯さん、どこに行くんです」
 「野暮用だ、LIMA、姉さんも来い」 
 
 
 「おおーい、丁度いいところで、タイミングいいな」
 佐伯は突然、立ち止まり、向こうからやってくる男の人に声をかける。
 「おまえに会いたいっていうから連れてきてやったぞ」
 男性が声をかけた瞬間、いきなり。
 「大畔 正幸(おむろ まさゆき)さん、サインください、姉がファンなんです」
 LIMAは色紙を差し出し、姉ですと隣に立つ女性の背中をどんと押した。


  
 「ああ、君、出なくていいから」
 何を言われたのか、子供は理解ができなかった。
 今日の収録は出演者も最近、人気の出てきた初めて会う芸人、いや他にもコメンテーターがいる。
 それが直前になって出なくていいって、どういうことだと思い、すぐに母親に連絡した。
 プロデューサーからの説明に母親は理解できないという顔になった


 「語弊があったね、この番組の出演がなくなったってことだよ」
 「どういうことです、うちの子が何かしたんでしょうか」
 「彼、以前にも注意されたことあったよね、素行、生意気な態度はテレビ、番組の中だけでいいんだ」
 「は、はい、でも息子は」
 母親は食い下がるように言葉を続けようとした。


 「あー、さよならだね、もう会うことないね、坊や」
 ここは控え室の中だ、近くで化粧をしていたアイドルが振り返り子供に向かって笑いかけた。
 「だって、佐伯さんでしょ、降ろせって言ったの」
 「あ、あの太った、デブのおっさんっか」
 子供が思い出したように叫んだ、すると母親に何か言いかけた男の顔が曇った、いや、表情が変わった。
 「君、本人の前で、それ言える」
 アイドルの口調が変わった。
 「無理だよ」
 アイドルは肩を竦めた、だが、反対に男性の顔は怒っていた。
 「事務所からも言われるだろうけど、お母さん」
 母親は混乱した、最近になって息子はバラエティなどに出て認知度も高く人気も出てきたのだ。
 大人に対して少しきつい、生意気とも撮れる態度や言葉遣いをするが、そこがまた人気の一つなのだと思っていた。
 それが今になってと思う、だが、それはテレビの中だけでいいんだと言われてしまっては返す言葉がない。
 通りすがりの女性の髪を引っ張ったというだけでと抗議すると以前にも、注意したといわれては返す言葉もない。
 「すみません、息子には厳しく」
 「俺に頭を下げたって駄目だよ」


 街を外を歩いていると、テレビに出ている子だと知らない人間が声をかけてくれるのは気持ちよかった。
 頑張って、応援してるよ、優しい言葉をかけてくれる、だが、それは全ての人がというわけではない。
 中にはお高くとまっている、今のうちだけさという言葉をかけてくる人間もいる。
 ネットの掲示板なんかにだ。
 だが、それは人気が出て、テレビにでいるから羨ましいのだ、妬んでいるのだと思っていた。
 しかし、プロデューサーに必死に頭を下げている母親の姿を見て、少年は、このときになって自分が取り返しのつかない、とんでもないことをしたのだと初めて気づいた。


以前書いたモノですが、中途なので書き直し、手直ししています。
母親の知り合いの男性と娘とのコメディにするつもりです。