好きなモノ、書きたいもの、見たいもの、舞台映画、役者とか

オリジナル、二次の小説 舞台、役者 すきなもの呟いて書きます

Phantom 囚われた怪人

オペラ座の怪人の二次創作です。
少し残酷、18要素有ります、苦手な方はスルーしてください。
他サイトにUpしてありますが、ブログなのでまとめて三話、Upしました。




「今日から、ここで暮らすんだ」
 男の笑みに頷くことしかできない、部屋の中は最低限の家具が配置されていて生活に困る事はないと言われて確かにと頷いた。
 騙されて自由を奪われたことが現実のことなのに、それを信じたくないと思ってしまうが、ここまで堕ちてしまうと反抗する気力もない。
 「ここで作曲をして、オペラを作るんだ」
 コーラスガール、彼女のパトロンである男の笑みは残酷だ、気がついたら鉄格子の折の中だと、こんなことを、このパリで自分の身に降りかかるとは驚きだった。
 誰が、この男の言葉を、命令を聞くものかと思った、従わう気持ちはこれっぽっちもない、そう思っていた。
 だが、彼女をプリマドンナとして輝かせる為にと言われてしまった。
 愛していると、自分は、あなたのプリマドンナ、舞台でずっと歌っていきたいと言っていた、あの言葉は嘘だったのか。
 私の態度から作曲をしないという意思を感じ取ったのか、その日の夜、牢屋の前に二人の屈強な男が現れた。
 手にはナイフと鞭を持っていた、拷問だ、背中を鞭とナイフで打たれ、傷つけられ、仮面を剥がされた。


 「化け物だぜ」
 「何だ、この顔」
 「地下に隠れ住んでいたらしい、無理ねぇな、この面じゃあ」
 「まったくだ」


 悪態、罵りの吐き捨てるような言葉は昔から言われ続けて慣れていたつもりだ、だが、体まで傷つけられては正直、堪える。
 オペラ座での自分は幽霊だと名乗っていた、だが、自分にも人間らしいところがあったのだと、その夜、初めて知った。
 絶対に、あんな男の言葉に従うものかと思っていた。


 「伯爵から許可を貰ったからな」
 その夜、やってきた男達はナイフも鞭も持っていなかった、だが、代わりに手にしていたモノを見て驚くというより呆れてしまった。
  


 「凄い、こいつ、締め上げてくるぜ、俺のモノを」
 「たまらんなっ、最高だぜ」
 「作曲より、こっちのほうがいいんじゃないか」
 「ちげえねぇ、はははっ」


 若くて綺麗な少年、若者なら男女関係なく相手にしても楽しいだろう、だが、年相応の自分のような男相手に性欲を発散させて喜んでいるとは哀れにさえ思ってしまう。
 だが、それ以上に男達を相手にして嫌がっていた自分の心境の変化だ、初のうちはあんなにも嫌だった。
 それが今では男達が尋ねてくることに、次第に嫌悪を感じなくなっていることに気づいた。
 慣れてきたということだろうか。
 そして男達に犯されている姿を彼女に見られた。
 見られたくないと思いながらも歓喜の声を上げてしまう、ねだるように腰を振っていた。
 だが、それは自分だけではない、男達もだ、夢中になって私の体に指を、舌を這わせて夢中になっていた。
 以前は気持ちを逆撫でするように淫猥で羞恥を煽るよな言葉を口にし、投げつけていたのに。
 


 「どうだい、クリスティーヌ、君が天使だと呼んでいた男だよ」


 私は見るなと言いたかった。


 「使えない、用なしだな、作曲もできない、こうなったら娼館にでも売るしかないな」


 男達が牢屋から出て行くと私はゆっくりと体を起こした鉄柵の向こうに視線を向けた。
 そこには彼女だけがいた。
 「満足か、君は」
 プリマになりたいという願いを叶えようとした私の姿は彼女の目に、どんな風に映っているのだろうか。
 「恨んでいるの」
 「私が、君を、何故だ」
 自分の欲望に素直に従った彼女をどうしてと聞きたい。
 「おまえはプリマになりたかったのだろう、だが」


 フィリップは自分の欲望の為に実の弟を切り捨てた。
 美しいモノには金を惜しまず、芸術を愛でる事はできても、それだけだ。
 なれると思っているのか、尋ねると彼女の顔が一瞬歪んだが、ええと頷いた。
 「あなたを、ラウルを裏切ってまで選んだのよ」


 彼女がいなくなり、一人になると不意に笑いがこみ上げてきた。
 答えが出た。
 ベッドに横になって先のことを考える、彼女の言葉を思い出しながら、今度は心の底から笑うことができた。



 その夜、私の監獄にやってきたのは二人の屈強な男ではなかった。
 「何か用かい伯爵、こんな夜更けに」
 「ああ、確かめたい事があってね」
 彼は水の入ったコップを手渡すと飲むように勧めた、私はためらうこともなく、口をつけると一気に飲み干した。


 「万が一ということもあるからね」


 自分は用心深い男なんだといわんばかりだ。
 物好きだと思うが、自分のことを高貴で上流階級の人間だと思っている人間ほど、こういう事をしたがるのだ。
 手錠をかけ、両足を縛り、抵抗できないようにして覆い被さって来る体に抵抗するのは満たすためだ。
 この男の、自分は何をしても許される階級の人間なのだという自尊心、征服欲を。


 「なんて醜い、化け物、なんだっっ」


 女でないから子供ができる心配はないと激しく腰を動かす男は荒い呼吸を吐きながら全身、汗びっしょりになっていた。
 娼館の女なら金を積めば多少の扱いが悪くても許される、だが、それでは満足できないのだろう。
 滑稽だと思いながらも、されるがままに犯されていた。
 そしてねだった、引き抜かれた肉棒に懇願した、欲しい、もっと奥まで激しく犯してくれと。
 娼館の女以上に淫乱じゃないか、男の言葉に私は自ら尻を向けた。


 半月が過ぎた。
 娼館に売り飛ばす予定だったのではないか、私は伯爵に尋ねた。
 最初は薬を飲ませて体の自由を奪い、それだけでは不安なのか手足を拘束してまで犯していたのに。
 今では、それもない。
 「なんだ、そんなに売り飛ばされたいのか、ほら」
 裸のまま、膨れ上がった股間を見せつけて、欲しいんだろうと誘うような言葉をかけてくる相手に私は尋ねた。
 人身売買をやっているのかと。
 ここ数日、真夜中になると聞こえてくるのだ。
 悲鳴と独り言のような呟きを。


 「おまえには関係ない」


 私は頷きながら、膨れ上がった男の股間を凝視した。
 なんて醜いんだと。


 行為が終わり、一人になると私は合鍵を使って牢屋を出た。
 暗い廊下を慣れた足取りで向かうのは気になっている声の主を探す為だ。
 伯爵、フィリップは自分の館の地下に公にはできないモノを隠している、密輸で手に入れたものは美術品だけではない、南国の野獣だったり、見世物小屋で亜人として売られている者達だ。
 手足が欠損していたりする、いわゆるまともな扱いをされない者達をペットとして法外な値段で他の貴族達に売りつけているのだ。
 だが、私の探しているのは。


 廊下の一番奥、薄暗い明かりが見えた。
 近づきながらも、用心しながら声をかけた。


 「だ、誰」


 か細い、女の声、だが、言葉、発音が変わっている。
 フランス人ではない、もしかして外国人かもしれない、確かめようとして仮面に隠れていない方の半分の素顔を覗かせた。 
 ぼんやりと見える相手の姿に声をかけた、安心させるように優しい声音で怖がらないでと。
 すると少しばかり安心したのか相手が近づいてきた。
 自分の部屋と同じ鉄格子の向こうにいたのは女性だ。


 「ひどい目に遭っていないかい」
 「えっ、ええ、今のところは」


 不安そうな声に男は自分の仮面をはずそうと考えた。


 「驚かないでくれ、ここに居たらひどい目に遭う、こんな風にね」


 ゆっくりと仮面を取り素顔を見せる、女は驚いた顔で、だが悲鳴を上げることはしなかった。


 自分の部屋に身取った男はベッドに体を沈め、大きく息を吐いた。
 外国人、黒髪だが、ジプシーではないのは一目で分かった。
 顔、体つきからしてパリでは見たこともない、あまり見かけない、珍しいといってもいいだろう。
 東洋人だ、旅行者ならパリの街に不慣れで拐かしに掴まるのも有り得るだろう。
 貴族の中には自分たちとは違う容姿、髪や目の色の人間をした外国人を攫ってペットのように手元に置きたがる者もいる。
 彼女も、そうなのか。
 フィリップは自分のものにするつもりなのか。
 いや、それはないだろう、今、伯爵家は事業に手を出して、それの資金繰りに大変だ。
 夜になると自分の部屋を訪れる、あの二人が言っていたのを思い出した。
 多分どこかの貴族に法外な値段をつけて売りつけるつもりなのかもしれない。


 塩時だと男は思った、そろそろ、ここを出ようと。
 だが、その前にやることがある、クリスティーヌ、そしてラウル、自分の腹の上で満足そうな笑みを浮かべる男の顔を思い出しながら、ゆっくりと目を閉じた。
 


 「ああ、かわいい人っっ、ほら」
 青年は恋人の体をぎゅっと抱きしめると頬に、鼻筋にキスをして髪を撫でた。
 以前はあまりに力を込めてしまったので苦しいと言われて抱擁を嫌がられてしまった。
 だが、今は彼女もそれが愛の証だと思って受け入れてくれる、何故なら恋人同士なのだ、自分たちは。
 「ラウル」
 呼ばれて青年は視線をそちらに向けた。
 「なんだい」
 「あなた、どうしたの」
 その言葉に意味が分からず青年は不思議そうな顔をした。
 「喉が乾いたな、何か飲み物を持って来てくれないか」
 僕たちの時間を邪魔しないでほしいんだといいたげに青年は腕の中の恋人に微笑みかけた。
 かって恋人と呼んだ女が自分を見ている眼差しの意味に青年は気づきもしない。
 呼びかけても自分のほうを向こうともしない、聞こえていないかのようだ。
 嬉しそうに抱きしめた人形に話しかけている青年の姿は以前の自分の知っている姿とは別人だ。
 肩まで伸びたくせのない金髪は殆ど抜け落ち、顔色は青白いというよりは黒い、着ているシャツは風呂にも入っていないのか汚れと皺だらけだ。
 そこには以前の面影はない、だが、問題はそれではない。
 自分が、本物のクリスティーヌが誰か、それさえかってわかっていないのだ。
 おかしくなってしまったのか。


 近頃、弟は疲れているようだ、フィリップにそう言われてお茶の時間、紅茶に入れた飲ませた液体。
 あれは栄養剤ではなかったのか。
 このままだとラウルは、おかしくなるどころではない。
 人形を抱いて笑っている姿は、どう見ても普通、まともには見えない。
 どうすれば、だが、相談できる人はいない。
 フィリップには言えない、だが、このまま放っておくなど自分にはできない、迷い、考えた挙げ句。


 「それで私のところに来た訳か」
 「お願い、エリック」
 鉄格子の向こうで男は話しを聞いていた、その横顔にクリスティーヌは頼れる人間がいないのと縋るような言葉を投げかけた。
 心の中で繰り返し叫びたいのを必死に堪えながらだ。
 (見捨てないで)
 「弟は、あの男にとって邪魔でしかなかったのだ」
 すぐには返事ができなかった、最近のフィリップは仕事で忙しいのか、なかなか会えずにいた。
 「ラウル、あの若造の事は諦めろ、種類が分からなければなんとも言えないが、麻薬中毒というのは簡単には治らない、末期になるのもあと少しだろう」
 言葉が出てこない、そんな彼女に男は尋ねた、おまえは、どうなんだと。
 何を言われたのかすぐには分からなかった。
 「いずれ同じ立場に追いやられるぞ」
 まさかと否定する言葉を笑いが遮った、自分は安全な場所にいると思っているのかと言われて、すぐには言葉が出てこない。
 「殺されるの、でもフィリップは、私を」
 愛している筈だ、何故ならラウルよりも彼と一緒になることを選んだ時点で共犯者なのだから。
 「自ら手を汚す事はしない、おまえは犯人として監獄行きになるだけだ、貴族に毒を盛ったのだからな」
 その言葉にクリスティーヌは呆然とした、確かに彼の言うとおりだ。
 自分は平民、ラウルは貴族だ、互いの立場を考えたらどんな言い訳をしたところで罪に問われるのは。
 「フィリップに彼の言うとおりに従って、あれが毒だなんて」
 こんなところで言い訳してどうする、だが、どうすればいいのかわからないのだ。
 「た、助けて」
 「私は牢獄の中だ」
 出してあげる、だから(助けて)


 牢獄の中の男は笑った。
  


 「ああ、かわいい人っっ、ほら」
 青年は恋人の体をぎゅっと抱きしめると頬に、鼻筋にキスをして髪を撫でた。
 以前はあまりに力を込めてしまったので苦しいと言われて抱擁を嫌がられてしまった。
 だが、今は彼女もそれが愛の証だと思って受け入れてくれる、何故なら恋人同士なのだ、自分たちは。
 「ラウル」
 呼ばれて青年は視線をそちらに向けた。
 「なんだい」
 「あなた、どうしたの」
 その言葉に意味が分からず青年は不思議そうな顔をした。
 「喉が乾いたな、何か飲み物を持って来てくれないか」
 僕たちの時間を邪魔しないでほしいんだといいたげに青年は腕の中の恋人に微笑みかけた。
 かって恋人と呼んだ女が自分を見ている眼差しの意味に青年は気づきもしない。
 呼びかけても自分のほうを向こうともしない、聞こえていないかのようだ。
 嬉しそうに抱きしめた人形に話しかけている青年の姿は以前の自分の知っている姿とは別人だ。
 肩まで伸びたくせのない金髪は殆ど抜け落ち、顔色は青白いというよりは黒い、着ているシャツは風呂にも入っていないのか汚れと皺だらけだ。
 そこには以前の面影はない、だが、問題はそれではない。
 自分が、本物のクリスティーヌが誰か、それさえかってわかっていないのだ。
 おかしくなってしまったのか。


 近頃、弟は疲れているようだ、フィリップにそう言われてお茶の時間、紅茶に入れた飲ませた液体。
 あれは栄養剤ではなかったのか。
 このままだとラウルは、おかしくなるどころではない。
 人形を抱いて笑っている姿は、どう見ても普通、まともには見えない。
 どうすれば、だが、相談できる人はいない。
 フィリップには言えない、だが、このまま放っておくなど自分にはできない、迷い、考えた挙げ句。


 「それで私のところに来た訳か」
 「お願い、エリック」
 鉄格子の向こうで男は話しを聞いていた、その横顔にクリスティーヌは頼れる人間がいないのと縋るような言葉を投げかけた。
 心の中で繰り返し叫びたいのを必死に堪えながらだ。
 (見捨てないで)
 「弟は、あの男にとって邪魔でしかなかったのだ」
 すぐには返事ができなかった、最近のフィリップは仕事で忙しいのか、なかなか会えずにいた。
 「ラウル、あの若造の事は諦めろ、種類が分からなければなんとも言えないが、麻薬中毒というのは簡単には治らない、末期になるのもあと少しだろう」
 言葉が出てこない、そんな彼女に男は尋ねた、おまえは、どうなんだと。
 何を言われたのかすぐには分からなかった。
 「いずれ同じ立場に追いやられるぞ」
 まさかと否定する言葉を笑いが遮った、自分は安全な場所にいると思っているのかと言われて、すぐには言葉が出てこない。
 「殺されるの、でもフィリップは、私を」
 愛している筈だ、何故ならラウルよりも彼と一緒になることを選んだ時点で共犯者なのだから。
 「自ら手を汚す事はしない、おまえは犯人として監獄行きになるだけだ、貴族に毒を盛ったのだからな」
 その言葉にクリスティーヌは呆然とした、確かに彼の言うとおりだ。
 自分は平民、ラウルは貴族だ、互いの立場を考えたらどんな言い訳をしたところで罪に問われるのは。
 「フィリップに彼の言うとおりに従って、あれが毒だなんて」
 こんなところで言い訳してどうする、だが、どうすればいいのかわからないのだ。
 「た、助けて」
 「私は牢獄の中だ」
 出してあげる、だから(助けて)


 牢獄の中の男は笑った。